要旨

Abstract

『アガルタ・マカブラ』とは、

旧東京夜野田区シェルター及びその周辺の遺跡から発見された当時の住民たちの手記を、
バーチャルアーティスト・小宵を擁するクリエイター集団「AfterImage」が
文筆と音楽で再解釈するプロジェクトである。

叙文

preface

旧東京夜野田区シェルターは、その異様な外観のために
一般にもよく知られる遺跡の一つである。

さながら巨大な監獄のようなこの建造物を建立したのは、
およそ300年前に滅びた独裁国家の権力者たちであるとされているが、
この国家に関する記録の大部分は、
晩年の激しい内戦の被害を受けて失われてしまった。

私たちは遺された僅かな文書の中から、
特に当時の住民たちの暮らしぶりを
生々しく伝える手記を選出して遺文集を編み、
この秘密めいた城塞都市の実態に迫ろうと試みる。

本書を読み解く上で重要な前提となるのは、
旧夜野田区周辺に伝わる、俗に“あぎらさま”と称される
出自不明の神にまつわる民話である。

永らく口承されてきたため、地域によって微妙に細部が
異なるバリエーションが存在しているが、
そのうち最もよく知られている類型を以下に引用し、
叙文と代えさせていただく。

“むかしむかし、深い海の底で、
学者たちが大きな棺を見つけました。”

”それは見たこともない模様で飾られた銀に輝く棺で、
彼らはそれをすっかり気に入り、
地上へ持ち帰ることにしました。”

”固く閉ざされていた蓋を開けてみると、
そこに眠っていたのは世にも美しい女神様でした。”

”長い長い眠りから覚めた女神様は、
国を治め、人々に古い知恵を分け与え、
長く豊かな暮らしと富をもたらしました。”

”しかし、人間たちは傲慢で、欲深かったので、
女神様の特別な棺を
ばらばらに切り分けて壊してしまいました。”

”棺の欠片は持ち主に永遠の命をもたらし、
争いを生み、多くの国を滅ぼしました。”

”棺を奪われた女神様は朽ちない身体を失い、
その血が絶えるまで、
未だ地上に縛りつけられているのです。”

(Sullivan, 2597, p.109)

遺文集

literary remains
ダミーロゴ 第1話
「黄昏の人びと」
ダミーロゴ 第2話
「信仰の対価」
ダミーロゴ 第3話
「無上の空論」
ダミーロゴ 第4話
「永遠のレプリカ」
ダミーロゴ 第5話
「有限の孤独」